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質問
日本版DBSでは、何年前までの性犯罪歴が照会されるのですか?また、検挙されていなかった場合はどうなりますか?

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回答

日本版DBSで確認対象になるのは、ガイドライン上の「特定性犯罪事実該当者」に当たるかどうかです。期間の考え方は次のとおりです。

  • 拘禁刑:執行終了等から 20年以内
  • 拘禁刑の執行猶予:裁判確定日から 10年以内
  • 罰金刑:執行終了等から 10年以内

つまり、単純に「何年前まで全部照会するか」というより、法律で定められた一定期間内の特定性犯罪が確認対象になるという仕組みです。

また、検挙されていない場合や、そもそも有罪判決等に至っていない場合は、通常、この犯罪事実確認では把握できません。
そのため、日本版DBSは「性犯罪歴の確認」だけに意味がある制度ではなく、初犯防止や、組織として性犯罪を起こさせない体制づくりに重きがある制度と理解することが重要です。

解説

日本版DBSで確認されるのは、単なる「前科一般」ではありません。ガイドラインでは、確認対象は特定性犯罪事実該当者であり、その定義として、拘禁刑なら20年、執行猶予なら10年、罰金刑なら10年という期間が示されています。つまり、制度は「昔に何かあった人を無期限に確認する」ものではなく、一定期間内の特定性犯罪を確認する制度です。

ここで大切なのは、「照会される」という言葉の受け止め方です。日本版DBSは、事業者が自由に前歴を調べる制度ではありません。事業者は、法に基づいて犯罪事実確認書の交付を申請し、その結果として特定性犯罪事実該当者に当たるかどうかを確認する仕組みです。ですから、対象になるのは、法令で定められた範囲の情報に限られます。

では、検挙されていなかった場合はどうか。
この点は実務上とても重要です。仮に問題行為があっても、

  • 検挙されていない
  • 起訴されていない
  • 有罪判決等に至っていない
    のであれば、通常、犯罪事実確認の仕組みでは把握できません。
    つまり、日本版DBSは「見えている過去」を確認する制度であって、「見えていないリスク」を全部見つけ出す制度ではないという限界があります。

だからこそ、こども性暴力防止法は、犯罪事実確認だけで完結していません。ガイドラインでも、制度の中核は

  • 早期把握
  • 相談
  • 調査
  • 保護・支援
  • 研修
  • 防止措置
  • 情報管理措置
    まで含めた安全確保措置全体にあります。

言い換えると、この制度の本質は「前歴確認制度」ではなく、「初犯を含めて性暴力を起こさせない組織体制を作る制度」です。


例えるなら、鍵のかかった家かどうかを確認するだけでなく、

  • 玄関の施錠
  • 防犯カメラ
  • 通報体制
  • 家族内のルール
    まで整えるのが本当の目的、ということです。
    前歴確認はその中の一部にすぎません。

したがって、事業者として本当に重要なのは、
「何年前まで確認できるか」だけでなく、
確認で拾えないリスクがあることを前提に、組織として防止策を整えることです。
具体的には、対象従事者の整理、相談窓口の設置、研修の実施、不適切事案対応フローの整備、情報管理規程の整備などが必要になります。

要するに、日本版DBSは、
過去の一定期間内の特定性犯罪を確認する制度でありつつ、制度の本当の重心は「組織として性犯罪を防ぐ体制づくり」にある
と理解するのが一番正確です。

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