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前回は企業向けのBCPを解説しましたが、「うちは従業員数人の小さな会社」「一人でやっている個人事業主」という方も多いはずです。今回は、そうした方々にこそ知っていただきたい「事業継続力強化計画」の認定制度と、改正基本計画がもたらす追い風について解説します。

小規模事業者こそ、被災の影響が致命傷になり得る

大企業には代替拠点や余剰資金がありますが、小規模事業者は、店舗や事務所、設備、そして経営者自身が無事であることが事業のすべてです。改正基本計画の被害想定では、停電約1,600万軒、断水約1,400万人、帰宅困難者約840万人。仮に建物が無事でも、電気・水道・物流が止まれば営業はできません。そして休業が長引けば、顧客と資金繰りが先に尽きてしまいます。

だからこそ、被災後に「何を、どの順番で、誰と」立て直すかを事前に決めておくことが、小規模事業者にとっての生命線になります。それを短時間で形にできるのが事業継続力強化計画です。

事業継続力強化計画とは

事業継続力強化計画は、中小企業が自然災害等に備えて策定する防災・減災の事前対策計画を、経済産業大臣(中小企業庁)が認定する制度です。本格的なBCPよりも簡易な様式で、次のような内容を整理して作成します。

  • 自社の拠点が置かれた地域のハザード(地震・水害等)の確認
  • 発災時の初動対応(安否確認、避難、被害状況の把握)の手順
  • 人員・建物設備・資金繰り・情報・その他経営資源を守る事前対策
  • 訓練や計画の見直しなど、取組を継続する体制

改正基本計画では、国は事業継続ガイドラインの周知とともに、事業継続力強化計画認定制度やレジリエンス認証制度等を活用して、企業等の事業継続の取組を促進すると明記されています。

※ 防衛省・自衛隊との取引に際して「オープンカウンタ方式」による契約の際に求められることもあります。

国は認定件数を約2倍にする目標を掲げた

ここが今回の最重要ポイントです。改正基本計画は、

事業継続力強化計画の認定件数を、92,523件【令和7年】⇒190,000件【令和17年】へ増やすことを具体目標に掲げました。

約2倍です。

国が数値目標を掲げた施策には、それを実現するための後押しが伴うのが通例です。認定取得のメリットは従来から、防災・減災設備投資への税制優遇、日本政策金融公庫の低利融資等の金融支援、一部補助金の審査における加点、認定ロゴマークの使用による信用力向上などが挙げられてきました(適用条件や内容は変わり得るため、最新の中小企業庁の情報をご確認ください)。認定件数倍増という目標の下で、こうした優遇が維持・拡充される方向に働くと予測するのが自然です。この予測の詳細は次回の補助金編で扱います。

認定取得までの流れ

  • ステップ1:自社の災害リスクを確認する(自治体のハザードマップ、改正基本計画の被害想定)
  • ステップ2:初動対応と事前対策を整理する(ヒト・モノ・カネ・情報の4つの視点)
  • ステップ3:計画書を作成し、電子申請で認定を申請する
  • ステップ4:認定後は計画を実行し、定期的に見直す

複数の事業者が連携して策定する「連携事業継続力強化計画」という枠組みもあり、取引先や同業者と共同で取り組むことも可能です。改正基本計画が同業他社との相互支援の事前合意を促していることとも整合する仕組みです。

行政書士からのひとこと

事業継続力強化計画は、様式こそ簡易ですが、自社のリスクと経営資源を棚卸しする作業が肝心です。書類作成に不慣れな方、日々の業務で手が回らない方は、行政書士等の専門家に相談しながら進めるのも一つの方法です。認定取得そのものより、「考えて、決めて、書き残す」プロセスにこそ価値があります。

次回は、いよいよ皆さまの関心が高いテーマ、改正基本計画と補助金の関係性の予測です。

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本記事は「首都直下地震緊急対策推進基本計画」(令和8年6月12日閣議決定)に基づいて執筆しています。事業継続力強化計画の認定要件・優遇措置の詳細は、中小企業庁の最新情報をご確認ください。