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令和8年7月14日(火)、「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第47号)が施行されます。ドローンの飛行が禁止されるエリアが大幅に拡大し、罰則も強化される、ドローンを飛ばすすべての個人・企業に関係する重要な改正です。
本連載では全5回にわたり、改正法の本文と防衛省の公表資料に基づいて、改正の内容と実務上の注意点をわかりやすく解説します。第1回はまず、この法律の基本と改正の全体像を押さえましょう。
小型無人機等飛行禁止法とは、どんな法律?
正式名称は「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」(平成28年法律第9号)。一般には「小型無人機等飛行禁止法」や「ドローン規制法」と呼ばれています。
国会議事堂や内閣総理大臣官邸などの国の重要な施設等、外国公館等、防衛関係施設、原子力事業所といった「重要施設」と、その周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することで、重要施設に対する危険を未然に防止することを目的とした法律です。
ここで注意したいのが、ドローンの法律としてよく知られる「航空法」とはまったく別の法律だという点です。航空法の飛行禁止空域での飛行や夜間飛行などには国土交通大臣の許可・承認が必要ですし、特定飛行を行う際にはドローン情報基盤システム(DIPS)への飛行計画の通報も必要です。しかし、これらの航空法上の手続をすべて済ませていても、小型無人機等飛行禁止法の対象エリアで飛行させるには、この法律に基づく手続が別途必要になります。二つの法律は並行して適用される、と覚えておいてください。
規制対象は「ドローン」だけではない
この法律が規制する「小型無人機等」は、次の2種類です。
(1)小型無人機(いわゆるドローン等)
飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムによる自動操縦)により飛行させることができるものをいいます。
ポイントは、定義に重量による除外がないことです。手のひらサイズの小型・軽量なトイドローンであっても、この法律の規制対象になり得ます。「軽いから大丈夫」という考えは通用しません。
(2)特定航空用機器
航空法上の航空機以外で、人が乗って飛行できる機器も対象です。具体的には次のものが国家公安委員会規則で定められています。
- 操縦装置を有する気球
- ハンググライダー(原動機付きを含む)
- パラグライダー(原動機付きを含む)
- 回転翼の回転により浮揚・移動でき、操縦装置を有し、人が飛行できる機器(航空法上の航空機を除く)
- 下方へ噴出する気体の反作用により浮揚・移動でき、操縦装置を有し、人が飛行できる機器
つまり、無人のドローンだけでなく、人が乗るパラグライダーなども規制の対象です。
どこが変わる?改正の5つのポイント
今回の改正(令和8年法律第47号)の柱は、次の5点です。
- 飛行禁止エリアの拡大:対象施設の周囲「おおむね300メートル」の地域が「おおむね1000メートル」に拡大されます(第2回で詳しく解説)。
- 直接罰の新設:対象施設周辺地域の上空での違反飛行そのものに、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金が科されるようになります(第3回で詳しく解説)。
- 「対象特別要人所在施設」の新設:天皇又は内閣総理大臣の所在する施設を、警察庁長官が期間を定めて指定できる制度が創設されます。
- 外国要人関係の拡充:外国要人が参加する国際会議の準備又は運営のために使用される会議場施設等が、指定対象に追加されます。
- 措置命令の拡充:警察官等が、施設の管理者その他関係者に対して必要な措置をとるよう命じることができることが明記されます。
いつから?施行日
改正法は「公布の日から起算して二十日を経過した日」から施行すると定められており、施行日は令和8年7月14日(火)です。本記事の執筆時点から数日後には、新しいルールが適用されることになります。
なお、既に対象施設とされている施設については、拡大後の周辺地域の指定・告示などの準備行為を施行前から行えることとされており、防衛省のホームページでは令和8年7月14日付の各施設の告示図面・告示本文が既に公開されています。また、施行直後の期間に拡大エリアで飛行する場合の申請期限には経過的な特例が設けられています(自衛隊施設・在日米軍施設それぞれの特例は第4回・第5回で解説します)。
個人・企業にはどんな影響がある?
個人の方であれば、趣味の空撮などでこれまで問題なく飛ばせていた場所が、7月14日以降は飛行禁止エリアに含まれる可能性があります。特に自衛隊の駐屯地・基地や在日米軍施設の周辺にお住まいの方は要注意です。
企業の方であれば、測量、インフラ点検、空撮、農薬散布などの業務で、施設の周囲1000メートル圏内に飛行経路がかかるケースが従来より格段に増えます。事前の手続を怠れば刑事罰の対象となり得るため、コンプライアンス上も飛行計画の確認体制づくりが必須になります。
まとめと次回予告
- 小型無人機等飛行禁止法は、重要施設とその周辺上空でのドローン等の飛行を禁止する法律(航空法とは別枠)
- 重量の下限がなく、トイドローンやパラグライダー等も対象
- 令和8年7月14日施行の改正で、禁止エリアが300m→1000mに拡大、直接罰も新設
本連載のラインナップは次のとおりです。
- 第1回:小型無人機等飛行禁止法とは?改正の全体像(本記事)
- 第2回:飛行禁止エリアが300mから1000mへ拡大!影響範囲と例外
- 第3回:罰則強化!周辺地域での無許可飛行に「直接罰」が新設
- 第4回:自衛隊施設の周辺でドローンを飛ばすには?手続ガイド
- 第5回:在日米軍施設の手続と、その他の改正点・まとめ
次回・第2回は、今回の改正で最も影響の大きい「飛行禁止エリアの300mから1000mへの拡大」を詳しく解説します。
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出典・根拠資料
- 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第47号)本文
- 防衛省関係重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律施行規則(令和元年防衛省令第3号)
- 防衛省ホームページ「小型無人機等飛行禁止法関係」(令和8年7月3日更新)https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/index.html
本記事は上記の公表資料に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際に飛行を計画される際は、必ず最新の告示・防衛省等の公式情報をご確認ください。