これまでの記事では、日本版DBS(こども性暴力防止法)の制度概要や対象事業者、義務対象事業者と認定事業者の違いについて解説してきました。
日本版DBS制度において、事業者が特に重要視しなければならないのが 「安全確保措置」 です。
安全確保措置とは、こどもに対する性暴力を未然に防ぐために、事業者が整備する 組織的な対応体制 のことです。
制度では、事業者に対して大きく次の3つの取り組みを求めています。
- 早期把握・相談・調査・保護支援・研修
- 犯罪事実確認
- 防止措置
本記事では、これらの内容について分かりやすく解説します。
① 早期把握・相談・調査・保護支援・研修
まず重要になるのが、こどもに対する不適切な行為や疑いがある行為を 早期に把握するための体制 です。
制度では、事業者に対して次のような体制整備が求められています。
早期把握
不適切な行為が疑われる状況を早い段階で把握できるよう、日常的な観察や情報共有の仕組みを整えることが必要です。
相談体制
子どもや保護者、職員が安心して相談できる窓口を設けることが重要です。
調査体制
不適切な事案が疑われる場合には、事実関係を確認するための調査体制を整備しておく必要があります。
保護・支援
こどもの安全確保を最優先に考え、必要に応じて適切な保護や支援を行うことが求められます。
研修
職員が制度を理解し、適切に対応できるようにするため、研修や周知を行うことも重要な要素です。
これらの取り組みにより、不適切事案の 早期発見と迅速な対応 が可能になります。
② 犯罪事実確認
日本版DBS制度の特徴の一つが、こどもと密接に関わる業務に従事する人について 犯罪事実の確認 を行う仕組みです。
犯罪事実確認は、こどもへの性暴力を未然に防ぐための重要な措置として位置づけられています。
ただし、この確認は本人の 同意を得たうえで実施すること が前提となります。
そのため事業者は、次のような手続を整備する必要があります。
- 確認対象となる職員の整理
- 同意取得の手続
- 確認結果の管理
- 記録の管理
犯罪事実確認の手続は、日本版DBS制度の運用において重要なポイントとなります。
③ 防止措置
安全確保措置では、こどもに対する性暴力を未然に防ぐための 予防的な取り組み も求められています。
例えば次のような措置です。
- 職員の配置や業務体制の見直し
- こどもと職員が二人きりになる状況を避ける仕組み
- 業務内容の適切な管理
- 記録や台帳の管理
これらの防止措置は、性暴力のリスクを減らすための 環境づくり と言えます。
安全確保措置は「運用体制」が重要
安全確保措置は、規程や書類を作成するだけでは十分ではありません。
重要なのは、制度を 実際に運用できる体制 を整えることです。
例えば、
- 職員が制度を理解しているか
- 相談があった場合に適切に対応できるか
- 情報管理が適切に行われているか
といった点が重要になります。
つまり、安全確保措置とは
組織としてこどもの安全を守る仕組みを整備することなのです。
次の記事について
安全確保措置の中でも、日本版DBS制度の中心となるのが
犯罪事実確認の手続です。
しかし実務では、
- 同意書はどのように取得するのか
- 確認対象者は誰になるのか
- 情報はどのように管理するのか
といった疑問を持つ事業者も多くあります。
次の記事では、
「日本版DBSの犯罪事実確認の手続」
について、実務的なポイントを詳しく解説します。