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シリーズ第9回は、経営者の皆さまから最もご質問の多い「補助金との関係」です。最初にお断りしておくと、改正基本計画そのものは補助金の公募要領ではなく、個別の補助金の新設を直接定めるものではありません。しかし、国の計画に書かれた数値目標と施策の方向性は、今後の予算・支援策の配分を読む最良の手がかりです。ここでは計画の記述を根拠に、行政書士としての「予測」をお伝えします。予測はあくまで私見であり、実際の制度は各府省・自治体の公表情報で必ずご確認ください。

予測の根拠――計画に書かれた「支援」の記述

改正基本計画には、支援策に関わる記述が随所にあります。

  • 住宅・建築物の耐震診断・耐震改修・建替えについて「補助制度、税制等の支援策の活用を促進する」と明記
  • 事業継続力強化計画の認定件数を92,523件から190,000件へ約2倍にする具体目標
  • 大企業BCP策定率100%、中堅企業80%という目標と、事業継続の取組を評価する手法・制度の促進
  • 被災した中小企業者等の事業復旧促進のため「公的金融機関の融資等の支援を行えるようにしておく」(生業の再建)
  • 国土強靱化実施中期計画等を踏まえた具体目標の設定(国土強靱化予算との連動)
  • 具体目標の進捗を毎年フォローアップし、課題を共有する仕組み

予測1:事業継続力強化計画の認定が「持っていて当たり前」になる

認定件数を10年で約2倍にするという目標から、認定取得を促すインセンティブ(補助金審査での加点、税制・金融面の優遇)は維持・強化される方向と予測します。これまでも一部の国の補助金では認定事業者への加点措置が講じられてきましたが、目標達成を後押しする観点から、加点対象となる補助金の範囲や配点が広がる可能性があります。逆に言えば、認定を持たないことが競争上の不利になっていく展開も考えられます。取得を検討するなら、申請が混み合う前の早い時期が有利です。

予測2:耐震化・出火防止など「予防投資」への支援が厚くなる

減災目標(死者・全壊焼失の半減以上)の達成には、住宅・建築物の耐震化と火災対策が最大のレバーです。計画が補助制度・税制の活用促進を明記した以上、緊急対策区域の自治体を中心に、耐震診断・耐震改修補助、感震ブレーカー設置補助、密集市街地の不燃化支援などの既存メニューが拡充・重点化されると予測します。店舗・事務所・工場の耐震改修や、旧耐震基準の建物を借りている場合の移転・改修は、自治体補助の動向を見ながら計画すると負担を抑えられます。

予測3:防災関連の設備・備蓄への支援と「防災ビジネス」市場の拡大

在宅避難の促進(食料・飲料水3日分備蓄100%目標)、スフィア基準を考慮した避難所環境の整備、マンション防災、一時滞在施設の確保といった施策は、備蓄品・災害用トイレ・非常用電源・簡易ベッドなどへの需要を生みます。自治体の備蓄関連調達や、企業の備蓄を促す支援策の充実が見込まれ、防災用品・設備を扱う事業者には市場拡大の機会、それ以外の事業者には調達コストを支援策で軽減できる機会となり得ます。

予測4:テレワーク・地方拠点・二地域居住に「防災」の追い風

テレワークと二地域居住が被害軽減策として計画に位置づけられ、特定居住促進計画を600件に増やす目標も掲げられました。地方拠点の整備やテレワーク環境への投資が、地方創生系の支援策に加えて防災の文脈でも評価される流れが予測されます。BCPにおける代替拠点の検討が促進されることとあわせ、「東京圏外にもう一つの拠点」への投資は複数の政策目的に合致する投資になっていくでしょう。

予測5:毎年のフォローアップが「支援策の予告編」になる

計画の進捗は毎年フォローアップされ、課題が共有されます。進捗が遅れた指標(例えば中堅企業のBCP策定率や感震ブレーカー設置率)には、翌年度以降にテコ入れの施策・予算が入りやすいと考えられます。毎年のフォローアップ結果は、翌年度の支援策を先読みする資料として要チェックです。

補助金頼みにしない、が大原則

最後に矛盾するようですが、補助金は「出たら使う」ものであって「出るまで待つ」ものではありません。命と事業を守る投資の意思決定を、公募スケジュールに委ねるべきではないからです。優先順位を決めて自己資金で始め、使える支援策が出たら活用して加速する。この順番が、防災経営の王道です。

次回は最終回、全10回の総まとめと、行政書士として皆さまをどう支援できるかをお話しします。

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本記事の「予測」部分は、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」(令和8年6月12日閣議決定)の記述を踏まえた筆者の私見です。個別の補助金・税制・融資制度の有無や内容は、各府省・自治体の最新の公表情報を必ずご確認ください。