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「500万円までの工事なら許可はいらないんでしょ?」――
建設会社の経営者の方とお話ししていると、この言葉をよく耳にします。おおむね正しいのですが、正確に理解している方は意外と少なく、思い込みのまま受注を続けて、気づかないうちに建設業法違反になっているケースもあります。

本シリーズは、建設業許可の取得から経営事項審査(経審)、そして公共工事の入札参入までを全12回で解説する連載です。第1回は出発点として、「自社に建設業許可が必要かどうか」を正しく判断できるようになることを目指します。

原則:建設工事を請け負うには許可が必要

建設業法第3条は、建設工事の完成を請け負う営業をするには、公共工事・民間工事を問わず建設業許可を受けなければならないと定めています。国土交通省もこの点を明確に説明しており、元請・下請の別も関係ありません。下請専門の会社でも、原則として許可が必要です。

ただし例外があります。それが「軽微な建設工事」のみを請け負う場合です。軽微な工事だけを請け負っている限りは、許可がなくても営業できます。つまり、自社の工事が「軽微」の範囲に収まっているかどうかが、最初の分かれ目になります。

「軽微な工事」の金額基準

軽微な建設工事にあたるかどうかは、まず金額で判断します。基準は工事の区分によって異なります。

 工事区分 許可が不要な範囲(軽微な工事)
 建築一式工事 1件の請負代金が税込1,500万円未満、または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事
建築一式以外の工事1件の請負代金が税込500万円未満

ここで注意すべき点が3つあります。

1つ目は、金額には消費税・地方消費税を含むということです。税抜480万円の工事は税込では500万円を超えため、軽微な工事にはなりません。

2つ目は、注文者が材料を支給する場合、その材料の市場価格(運送費を含む)を請負代金に加えて判断するという点です。手間請けだから金額が小さい、という理屈は通りません。

3つ目は、正当な理由なく契約を分割しても、合算して判断されるという点です。600万円の工事を300万円ずつ2本の契約に分けても、軽微な工事にはなりません。

自社チェック:この3つの質問に答えてみてください

  • 公共工事に参入したいと考えていますか?
  • 1件あたり税込500万円以上の工事を請ける(請けたい)ことがありますか?
  • 建築一式工事で、1件あたり税込1,500万円以上になることがありますか?

1つでも「はい」があれば、建設業許可の取得を具体的に検討すべき段階です。特に公共工事は、金額にかかわらず許可と経営事項審査が事実上の前提になります(この点は第8回以降で詳しく解説します)。

許可を取ると何が変わるか

許可を取る最大のメリットは、500万円(建築一式は1,500万円)以上の工事を合法的に受注できることですが、それだけではありません。近年は、コンプライアンスの観点から、金額にかかわらず「許可業者にしか発注しない」という元請が増えています。許可の有無が、下請としての取引継続に直結する時代です。

また、許可業者であることは金融機関や取引先からの信用にもつながり、公共工事参入への第一歩にもなります。逆に、無許可で軽微な工事の範囲を超えて請け負うと、建設業法違反として罰則の対象になり、その後5年間許可が取れなくなる欠格要件にも該当し得ます。「知らなかった」では済まされません。

よくある質問

Q.500万円未満の工事しかしませんが、許可を取る意味はありますか?
A.あります。前述のとおり、金額にかかわらず許可業者にしか発注しない元請が増えているほか、許可は金融機関や施主からの信用にも直結します。実際のご相談でも、元請からの要請をきっかけに許可取得を決める会社が最も多い印象です。

Q.個人事業主でも許可は取れますか?
A.取れます。要件は法人と基本的に同じです。ただし、将来法人化する予定があるなら、法人化のタイミングと許可の承継手続まで含めて設計したほうが、二度手間と費用の無駄を防げます。

Q.申請してからどのくらいで許可が出ますか?
A.知事許可でおおむね1〜2か月程度が審査の目安です(自治体により異なります)。要件確認や証明資料の収集期間も含めると、思い立ってから許可取得まで2〜3か月程度を見込んでおくと安心です。500万円超の商談が動き出してからでは間に合わないことが多いので、早めの準備をおすすめします。

次回予告

第2回は、許可の種類の話です。「知事許可」と「大臣許可」はどう違うのか。「全国で工事をするなら大臣許可が必要」という、よくある誤解を解いていきます。

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