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「経審を受けたので、これで入札に参加できますね」――残念ながら、まだできません。経審と入札参加資格は別物です。
第10回は、経審の結果を実際の受注につなげる最後の関門、「入札参加資格申請」の仕組みを解説します。
3つの手続の役割分担
| 手続 | 役割 |
| 経営事項審査(経審) | 全国共通の客観点数(P点)を出す |
| 入札参加資格申請 | 発注機関ごとの有資格者名簿に登録する |
| 個別の入札 | 名簿登載後、実際の案件に参加する |
経審は「成績表を作る」手続、入札参加資格は「受験校に願書を出す」手続、とイメージしてください。成績表がいくら良くても、願書を出していない学校は受験できません。国、都道府県、市町村、それぞれの発注機関ごとに申請が必要です。
定期受付と随時受付
多くの発注機関は、2年度分の名簿をまとめて作る「定期受付」を実施します。たとえば国土交通省の定期競争参加資格審査では、建設工事や測量・建設コンサルタント等業務の定期受付が行われており、令和7・8年度分のインターネット申請は令和7年1月15日に受付を終了しています。
定期受付を逃した場合でも、多くの機関では「随時(追加)受付」で年度途中の登録が可能です。ただし、随時登録では等級格付けや指名の面で不利になる場合もあるため、狙う発注機関の定期受付の時期を把握し、そこに経審結果を間に合わせるのが王道です(第9回のスケジュール管理がここに効いてきます)。
どの発注機関を狙うか
入札参加資格は発注機関ごとの申請なので、「どこの名簿に載るか」は経営戦略そのものです。本店所在地の市町村と都道府県は基本として、自社の業種・地域・規模に合った国の機関を加えていくのが定石です。
たとえば防衛省の建設工事を出口に考えるなら、経審取得後に防衛省の建設工事等競争参加資格の申請へつなげます。自衛隊関連の施設工事は地域の建設会社にも門戸が広く、当事務所が特に力を入れている分野でもあります。
- 市町村・都道府県:地域密着の工事。まず押さえる基本の名簿
- 国土交通省など国の機関:規模・実績に応じて挑戦
- 防衛省:建設工事等競争参加資格を別途申請
申請実務の注意点
申請は現在、ほとんどの機関で電子申請が基本です。機関ごとにシステム・様式・添付書類・受付期間が異なり、営業種目やランク希望の書き方にもノウハウがあります。
また、名簿の有効期間(通常2年)ごとに更新申請が必要で、その前提として毎年の経審を切らさないことが求められます。経審→入札参加資格→更新、というサイクル全体を年間カレンダーに組み込んで、初めて「公共工事を受けられる会社」の体制が完成します。
名簿に載った後の実務
名簿登載はゴールではなくスタートです。実際の受注には、公告案件の情報収集、電子入札への対応(電子証明書・ICカードや利用者登録の準備)、積算と応札、落札後の契約・施工体制の整備と続きます。
また、多くの発注機関は客観点数(P点)に加えて、工事成績評定や地域貢献(災害協定・除雪協力など)といった主観点数を評価します。受注した工事を丁寧に施工して高い工事成績を取ることが、次の格付けと指名につながる好循環を生みます。
初めての入札参加では、いきなり大型案件を狙うより、小規模案件や地元市町村の案件で入札の流れに慣れるのが現実的です。名簿登載する機関を毎年少しずつ増やしながら、応札のノウハウを社内に蓄積していきましょう。
まとめます。
経審で点数を取り、
発注機関ごとの名簿に登録し、
案件に応札する
この3段階がすべて揃って、初めて公共工事の受注が可能になります。どの機関の名簿に載るかは経営戦略であり、定期受付の時期から逆算した準備が成否を分けます。「経審は取ったが、その先が分からない」という会社は少なくありません。狙う発注機関の選定から電子入札の環境整備まで、出口までの道筋を一緒に設計しますので、お気軽にご相談ください。
次回予告
第11回は、令和8年7月1日に施行された経審のW点改正を解説します。CCUS・自主宣言制度・社会保険――変わった点を整理します。
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※本記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づいています。申請の際は必ず最新の手引き・告示をご確認ください。