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令和8年7月1日、経営事項審査の改正が施行されました。令和8年2月6日に公布された基準等の改正によるもので、令和8年7月1日以降の経審申請から新基準が適用されています。
今回の改正の対象は、W点(その他社会性等)です。第11回は、国土交通省の公表資料に基づいて、経営者が押さえるべき変更点を3つに整理して解説します。
改正の3つの視点
国土交通省は今回の改正の視点として、
①持続可能な建設業に向けた担い手の育成・確保
②「地域の守り手」としての災害対応力の強化
③令和2年の建設業許可要件の改正を踏まえた見直し
この3点を挙げています。以下、順に見ていきます。
改正点1:「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の新設(+5点)
W1に、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無という評価項目が新設されました。宣言をしている企業は5点の加点です。加点の要件は、審査基準日が宣言日以降であり、宣言書と誓約書が提出されていることです。
あわせて、CCUS(建設キャリアアップシステム)に関する「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」の配点が見直されました。
| 審査項目 | 改正前 | 改正後 |
| 就業履歴蓄積措置(民間工事を含む全ての建設工事) | 15点 | 10点 |
| 就業履歴蓄積措置(全ての公共工事) | 10点 | 5点 |
| 自主宣言制度の宣言の有無 | - | 5点(新設) |
実務への影響に注意してください。これまでCCUS対応で15点を取っていた会社は、何もしなければ10点に下がります。自主宣言制度の宣言を行えば5点が加わり、合計では従来水準を維持できます。CCUS加点を取ってきた会社ほど、自主宣言への対応が急務です。
改正点2:建設機械の加点対象拡大(W7)
災害対応力強化の観点から、W7(建設機械の保有状況)の加点対象に「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が追加されました。令和6年能登半島地震の応急復旧工事での活用実績等を踏まえた見直しです。
評価方法は従来どおり保有台数に応じた加点で、14台以上の保有で最大15点です。これまで対象外だった機械が加点対象になったことで、保有機械の棚卸しをすれば点数が上がる会社が出てきます。リース・保有状況を確認してみてください。
改正点3:社会保険の評価項目を削除
改正前は、雇用保険・健康保険・厚生年金保険の未加入について各マイナス40点の減点項目(W1-1〜W1-3)がありました。今回の改正で、この3項目は審査項目から削除されました。
背景には、令和2年10月から社会保険加入が建設業許可・更新の要件になったことがあります。許可の更新期間が5年であるため、令和7年10月以降に許可を保有する建設業者は当然に社会保険加入を満たしている、という整理です。これに伴い、W点の最低点はマイナス210点からマイナス90点に、総合評定値P点の最低点も変更されています。
変わらない部分と、点数への影響
今回の改正はW点の見直しが中心で、完成工事高(X1)、財務規模(X2)、経営状況(Y)、技術力(Z)の評価方法や、総合評定値の計算式(P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W)自体に変更はありません。
国土交通省の資料によれば、改正後のW点は最高2,073点・最低マイナス788点、総合評定値P点は最高2,159点・最低163点とされています。減点項目だった社会保険3項目の削除により、W評点の下限が大きく緩和された形です。
自社のW点への影響は、CCUSの取組状況、自主宣言の有無、保有機械の3点でほぼ決まります。昨年のP点と同じ感覚でいると思わぬ増減があり得るため、今年の経審申請前に、新基準でのシミュレーションをしておくことを強くおすすめします。
経営者がやるべきこと
- 自主宣言制度の宣言を検討する(CCUS加点を取ってきた会社は特に優先)
- 不整地運搬車・アスファルトフィニッシャを含めて保有機械を棚卸しする
- 令和8年7月1日以降の申請は、必ず改訂版の手引き・様式・確認資料で準備する
関東地方整備局も、令和8年7月1日以降の申請では改訂版の手引きを確認するよう案内しています。古い手引きのまま準備すると、様式や確認資料の違いで手戻りが発生します。今年度の経審を控えている会社は、早めの確認をおすすめします。
次回予告
最終回の第12回は、ここまでの全体を1枚のロードマップに整理し、許可から入札までを迷わず進むための実務設計をお届けします。
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※本記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づいています。申請の際は必ず最新の手引き・告示をご確認ください。