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公共工事に参入したい建設会社が必ず通る関門、それが経営事項審査(経審)です。

関東地方整備局は、経審について、国や地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合に必ず受けなければならない審査であり、競争入札参加資格審査のうち「客観的事項」にあたる審査だと説明しています。第8回はこの経審の全体像を解説します。

経審とは「会社の客観点数」を出す手続

公共工事の発注者は、入札に参加する会社を審査するにあたり、全国共通の「客観点数」と、発注機関ごとの「主観点数」を組み合わせて格付けします。このうち客観点数を算出するのが経審です。

つまり経審の結果(総合評定値P点)は、どの発注機関に対しても使われる、会社の共通成績表のようなものです。P点の高低は、参加できる工事の等級(ランク)に直結します。

評価項目:X・Y・Z・W

 記号 項目 見るもの
 X1 経営規模(完成工事高) 業種別の完成工事高
X2経営規模(財務規模)自己資本額、利払前税引前償却前利益
 Y 経営状況 財務の健全性(第7回で解説)
Z技術力業種別の技術職員数、元請完成工事高
 W その他社会性等 建退共、退職金制度、防災協定、CCUS、法令遵守など
P総合評定値X・Y・Z・Wを総合した点数

P点は「P=0.25X1+0.15X2+0.20Y+0.25Z+0.15W」という計算式で算出されます。ウェイトが大きいのは完成工事高(X1)と技術力(Z)でそれぞれ25%。つまり、業種別の完成工事高をきちんと積み上げ(第6回の工事経歴書!)、技術職員を確保・登録することが、P点の土台になります。

W点は「取組次第で伸ばせる」得点源

X・Y・Zが会社の実力そのものであるのに対し、W点(その他社会性等)は、建退共への加入、退職金制度の導入、防災協定への参加、CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用など、経営判断で取り組める項目が並びます。

同規模・同業種のライバルと差がつきやすいのがこのW点です。なお、W点は令和8年7月1日施行の改正で項目が大きく見直されました。この改正は第11回で詳しく解説します。

経審の進め方(全体フロー)

  • 決算確定・税務申告(税理士)
  • 決算変更届の提出(第6回
  • 経営状況分析の申請・Y点取得(第7回
  • 経審申請(許可行政庁)→ 結果通知書(P点)の受領
  • 各発注機関への入札参加資格申請(第10回

経営者の方にまずお伝えしたいのは、「P点を取ること」が第一の目標、「P点を改善すること」が次の目標、という順序です。初回はまず受審して自社の現在地を知る。そこから毎年、工事経歴書の設計やW点対策で点数を育てていく。経審は一発勝負ではなく、毎年の積み上げ戦です。

P点はどのくらい必要か

「何点あれば入札できますか」というご質問をよくいただきますが、必要な点数は発注機関・業種・等級ごとに異なります。各発注機関は、P点に主観点数(工事成績、地域貢献など)を加えた総合点数で業者をA・B・Cなどの等級に格付けし、等級ごとに参加できる工事の金額帯を定めています。

したがって戦略は2段階です。まず初回の経審で自社の現在地(P点)を知る。次に、狙う発注機関の格付け基準と照らして、どの項目を伸ばせば目標の等級に届くのかを逆算する。完成工事高やY点は一朝一夕には動きませんが、W点の各項目や技術職員の資格取得は、比較的短期で動かせる改善メニューです。

なお、高い等級が常に有利とは限りません。等級が上がれば競合も工事規模も変わります。自社の施工体制で確実にこなせる金額帯で実績と工事成績を積み上げるのが、公共工事で長く生き残る王道です。

まとめます。経審は公共工事の入場券であり、P点はどの発注機関にも通用する会社の共通成績表です。点数の土台は業種別の完成工事高(X1)と技術力(Z)、伸びしろはW点。そして、その仕込みは毎年の決算変更届と日々の経営判断の中にあります。まずは初回の受審で現在地を知ることから始めましょう。

次回予告

第9回は、経審の「有効期間」の話です。うっかりすると公共工事を受けられない空白期間が生まれます。年間スケジュールの組み方を解説します。

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※本記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づいています。申請の際は必ず最新の手引き・告示をご確認ください。