― 防衛生産基盤強化法で広がるチャンスと注意点 ―

2023年に成立した 防衛生産基盤強化法（DPSA） により、防衛装備品を製造・供給する企業に対し、国が直接財政支援できる制度が整いました。
この法律の肝となるのが、「特定取組（４類型）」 と呼ばれる基盤強化措置です。

本記事では、この４つの基盤強化措置について、
特に中小企業にとってのメリット・デメリット に焦点をあてて解説し、
最後に行政書士として支援できるポイントもまとめます。

１．特定取組（４類型）とは？

防衛大臣の認定を受けた事業者が「装備品安定製造等確保計画」を立て、その計画に基づく取組を実施する場合、国が財政上の措置を行う制度です。

対象となる４類型は以下のとおり：

  1. サプライチェーン強靱化
  2. 製造工程効率化
  3. サイバーセキュリティ強化
  4. 事業承継等

２．４類型の内容と「中小企業のメリット・デメリット」

① サプライチェーン強靭化

（供給源多様化・国産化・備蓄・代替素材開発 等）

● 主な内容

  • 原材料・部品の国産化
  • 供給途絶に備えた備蓄
  • 代替素材・代替部品の開発
  • 設計変更研究

● 中小企業のメリット

  • 海外依存リスクの低減
  • 代替部品開発の費用を国が負担（研究開発費が対象に）
  • 備蓄の購入費も支援対象（中小企業には大きい）

● デメリット / 注意点

  • 計画作成の難易度が高い（サプライチェーン分析が必須）
  • 財政措置は後払いが基本（資金繰り配慮が必要）
  • 国産化・代替化の取り組みは技術的ハードルが高い可能性

② 製造工程効率化

（最新設備導入・自動化・AI検査・3Dプリンタ 等）

● 主な内容

  • 老朽設備から最新設備へ更新
  • AI検査装置の導入
  • 3Dプリンタ等による先端製造技術の導入

● 中小企業のメリット

  • 老朽化設備の更新に国費を活用できる
  • 省人化・自動化により生産性向上
  • 国際競争力の強化につながる

● デメリット / 注意点

  • 補助対象となるのは「防衛需要の活用割合」で按分される
  • 最新設備の保守費・運用費は企業側負担
  • 導入後の生産体制維持が求められる

③ サイバーセキュリティ強化

（NIST相当レベル／防衛産業サイバー基準）
● 主な内容

  • NIST SP800-171 相当の対策導入
  • 多要素認証、ログ監視、脆弱性調査
  • カメラ・入退室管理など物理的対策
  • 社員教育

● 中小企業のメリット

  • 高額なセキュリティ投資を国が支援
  • 防衛分野の取引参加のハードルが下がる
  • 取引先からの信頼向上、共同開発のチャンス拡大

● デメリット / 注意点

  • セキュリティ水準の要求が高く、
    　内部体制構築・ルール整備が大変
  • 導入後の運用コストは自社負担
  • 監査・証跡管理など継続的な取り組みが必須

④ 事業承継等

（設備整備・技術資料取得・教育訓練 等）
● 主な内容

  • 防衛装備品製造事業の承継時の設備投資
  • 技術資料、ライセンス取得
  • 技術者育成の教育訓練

● 中小企業のメリット

  • 撤退予定企業の技術を受け継ぐ大チャンス
  • 承継時の多額の設備投資を国が支援
  • ニッチな防衛部品の「最後の作り手」となる価値が高い

● デメリット / 注意点

  • 承継した後の「生産継続責任」が非常に重い
  • 技術者採用・育成の負担
  • 承継交渉や契約関係の整理が複雑になりやすい

３．中小企業にとっての総合的効果

● 大きなメリット

  • 防衛省と直接契約できる「事業の安定性」
  • 生産基盤を強化するための 設備導入費が実質的に軽減
  • 防衛産業参入のハードルが下がる
  • 国がサプライチェーンを把握し、中小企業の役割が可視化される

● 想定されるリスク・注意点

  • 計画策定・資料作成の負担が大きい
  • 原則後払いであるため、キャッシュフロー管理が必要
  • 要件適合性（セキュリティ基準 等）が高い
  • 承継等は契約・知財の手続きが煩雑

４．行政書士として支援できること

（アラモード行政書士事務所 / Office A La MOD）

当事務所では、防衛分野に精通した行政書士として、以下の支援が可能です。

◆ 支援内容

  1. 装備品安定製造等確保計画の作成支援
    　サプライチェーン分析・計画要件整理・文書作成支援
  2. 特定取組４類型の適合性チェック
    　どの類型を活用できるか、財政措置の対象範囲の判定
  3. サイバーセキュリティ基準適合のための文書整備支援
    　規程・ルールの整備、体制構築の補助
  4. 事業承継に関する契約・手続きの整理
    　技術資料の扱い、承継スキームの法的整理
  5. 防衛省との照会対応や必要資料の作成代行
    　仕様書、契約書、エビデンスの書類化

◆ 防衛分野に特化した強み

元陸上自衛官として21年の現場知識を有し、
防衛調達の特殊性・装備品の運用実態を踏まえた実務的サポートが可能です。

５．お問い合わせ

特定取組の活用を検討している企業様、
装備品製造の継続や新規参入を検討される中小企業様は、
ぜひお気軽にご相談ください。

アラモード行政書士事務所（Office A La MOD）は、
中小企業が防衛産業で確実に前進できるよう、
最新制度に基づく実務サポートをご提供します。

「アラモード行政書士事務所HP」