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建設業許可は「取ったら終わり」ではありません。毎年、決算のたびに「決算変更届(事業年度終了届)」を許可行政庁に提出する義務があります。

そしてこの決算変更届、単なる報告書類ではありません。公共工事参入を目指す会社にとっては、経営事項審査(経審)の前提となる、極めて戦略的な書類です。第6回はその中身を解説します。

決算変更届とは

決算変更届は、事業年度終了後4か月以内に、決算内容を建設業法上の様式に整理して届け出る手続です。提出を怠ると、許可の更新や業種追加の申請が受け付けられなくなるほか、罰則の対象にもなり得ます。

さらに重要なのは経審との関係です。経審を受けるには、直近決算の内容が決算変更届として提出済みであることが前提になります。関東地方整備局も、経審申請にあたり事前に決算変更届出書を提出する必要があると案内しています。決算変更届が滞っている会社は、公共工事のスタートラインに立てません。

決算変更届で整理する資料

 資料 見る内容
 税務申告書 決算が確定しているか
貸借対照表資産・負債・純資産の状況
 損益計算書 売上・利益の状況
完成工事原価報告書建設工事の原価の内訳
 工事経歴書 どの工事をどの業種に計上するか
直前3年の各事業年度における工事施工金額業種別の完成工事高

税理士が作成した決算書をそのまま出せばよいわけではなく、建設業法の様式・勘定科目に組み替える必要があります。売上を「完成工事高」と「兼業事業売上高」に分け、原価を完成工事原価報告書として整理する――ここは建設業専門の実務です。

腕の見せどころは「工事経歴書」と「業種振分け」

経営者の方に知っておいてほしいのは、工事をどの業種に振り分けるかで、将来の経審の点数が変わるということです。

たとえば請求書に「改修工事一式」と書いてあっても、実態は内装仕上工事、管工事、電気工事、防水工事、塗装工事などに分かれる可能性があります。これを漫然と「建築一式」や1つの業種にまとめてしまうと、本来伸ばしたい業種の完成工事高が積み上がりません。

経審の完成工事高(X1)は業種別に評価されます。公共工事で狙いたい業種があるなら、その業種に計上できる工事を毎年の工事経歴書で正しく積み上げていく必要があります。決算変更届は、いわば経審の仕込みの場なのです。

経営者へのアドバイス

  • 決算変更届を出していない年度がないか確認する(未提出分は遡って提出が必要)
  • 工事台帳・請求書を工事1件ごとに業種を意識して整理しておく
  • 公共工事で狙う業種を決め、その業種の完成工事高を意識した振分け方針を持つ

毎年の決算変更届を「作業」として処理するか、「戦略」として設計するか。ここが公共工事参入の成否を分ける最初の分岐点です。

ためてしまった場合と電子申請

決算変更届を数年分ためてしまっている会社は、実は珍しくありません。未提出のままでは許可の更新・業種追加が受け付けられず、経審も受けられないため、どこかで必ず精算が必要になります。更新直前に数年分をまとめて作るのは、当時の注文書・請求書の散逸もあって相当な労力です。毎年淡々と出すのが、結局いちばん安上がりで安全です。

なお、建設業許可と経審の手続は、電子申請システム(JCIP:建設業許可・経営事項審査電子申請システム)による申請が可能になっており、決算変更届も対象です。書面の持参・郵送に比べて手間を大きく減らせるので、毎年発生する手続だからこそ電子化のメリットは大きいといえます。

経営者としては、決算変更届を「税務申告とセットの年中行事」として仕組み化することが重要です。申告が終わったら決算書と工事台帳一式を行政書士へ――この流れを毎年固定してしまいましょう。

なお、建設業許可の届出は決算関係だけではありません。役員や経管・営業所技術者等の変更、商号や営業所の移転など、事由が発生した都度提出が必要な変更届もあります。こうした届出漏れは許可更新の際に一括して指摘されがちなポイントです。会社の登記や人事体制に動きがあったときは、建設業許可側の届出が必要かどうかをあわせて確認する習慣をつけておきましょう。

次回予告

第7回は、経審の財務パート「経営状況分析(Y点)」です。決算書をそのまま出してはいけない理由を解説します。

建設業許可・経営事項審査・入札参加資格のご相談は、アラモード行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づいています。申請の際は必ず最新の手引き・告示をご確認ください。