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「うちは許可が取れますか?」――これは私たち行政書士が最も多く受ける質問です。答えは、5つのハードルを越えられるかどうかで決まります。
国土交通省は、建設業許可を受けるためには建設業法第7条の4つの許可要件を備え、かつ同法第8条の欠格要件に該当しないことが必要と説明しています。第4回は、この全体像を経営者目線で整理します。
許可要件の全体像
| 要件 | 経営者向けの意味 |
| 経営業務の管理を適正に行う能力(7条) | 建設業の経営経験を持つ人・体制が社内にあるか |
| 営業所技術者等の設置(7条) | 許可業種の技術が分かる常勤者が営業所にいるか |
| 誠実性(7条) | 不正・不誠実な契約をするおそれがないか |
| 財産的基礎等(7条) | 工事を継続できる資金・信用があるか |
| 欠格要件に該当しないこと(8条) | 破産、一定の刑罰、暴力団関係などに該当しないか |
このうち実務で最初に確認すべきは、上の2つ――経営業務の管理責任者等(いわゆる経管)と営業所技術者等です。ここが通らないと、他の要件がいくら揃っていても申請は進みません。
ハードル1:経営業務の管理責任者等(経管)
建設業は、受注生産・長期契約・多額の前払いといった特性があるため、建設業の経営を分かっている人が経営陣にいることが求められます。典型的には、建設業を営む会社での役員経験や個人事業主としての経験が5年以上ある人が、常勤役員等として在籍していることが必要です。
「腕のいい職人歴20年」でも、経営経験がなければ経管にはなれません。逆に、工事の実務経験がなくても、建設会社の役員を5年以上務めた人なら該当し得ます。ここは「経営の経験」を見る要件だと理解してください。
ハードル2:営業所技術者等
許可を受けたい業種について、一定の資格または実務経験を持つ技術者を、営業所ごとに専任(常勤)で置く必要があります。詳細は第5回で丸ごと解説しますが、資格か、10年の実務経験か、指定学科卒業+実務経験か、いずれかのルートで証明します。
ハードル3〜5:誠実性・財産的基礎・欠格要件
誠実性は、請負契約に関して詐欺・脅迫など不正な行為をするおそれが明らかな者でないこと。通常の会社であればまず問題になりません。
財産的基礎は、一般建設業の場合、自己資本500万円以上、または500万円以上の資金調達能力(残高証明など)があれば足ります。直前決算の純資産が500万円を下回っていても、預金残高で証明できるケースが多くあります。
欠格要件は見落としがちな落とし穴です。破産して復権を得ない者、一定の刑罰から5年を経過しない者、暴力団員等が役員にいる場合などは許可が受けられません。役員の過去の交通事故による禁錮刑などが引っかかることもあるため、役員全員について事前確認が必須です。
初回相談で確認されること
- 経営経験5年以上の常勤役員がいるか(登記・確定申告書などで証明できるか)
- 取りたい業種の資格者、または10年経験者が常勤しているか
- 自己資本500万円以上、または500万円の残高証明が出せるか
- 役員・株主に欠格要件に触れる事情がないか
この4点が揃えば、許可取得はかなり現実的です。証明資料(過去の契約書、請求書、健康保険の記録など)を集められるかが実務上の勝負どころになります。
よくある質問
Q.設立したばかりの会社でも許可は取れますか?
A.取れます。経管と技術者の要件を満たす人がいれば、設立初年度でも申請できます。決算がまだない場合、財産的基礎は500万円以上の預金残高証明で証明するのが一般的です。
Q.許可までどのくらいかかりますか?
A.審査期間の目安は知事許可で1〜2か月程度、大臣許可で3か月程度です。これに加えて、経営経験や実務経験の証明資料(登記事項証明書、契約書、請求書など)の収集に時間がかかるケースが多く、準備期間も含めた工程で考える必要があります。
Q.許可に有効期間はありますか?
A.5年間です。5年ごとに更新手続が必要で、更新時にも要件の維持が確認されます。経管や技術者の退職による要件欠如は、更新できなくなる典型的な原因です。許可は「取って終わり」ではなく「維持し続けるもの」だと捉えてください。
次回予告
第5回は、許可要件の中でも最重要の「営業所技術者等」を深掘りします。資格・経験は「人」ではなく「業種」とセットで見る――この鉄則を解説します。
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※本記事は執筆時点(2026年7月)の制度に基づいています。申請の際は必ず最新の手引き・告示をご確認ください。