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この2つが揃っていないと、そもそも申請を受け付けてもらえません

本シリーズは、防衛省の建設工事の競争参加資格を全7回で解説するものです。いま取り上げる理由は2つ。令和8年度(2026年度)予算で「施設の強靱化」が契約ベースで約9,000億円(前年度比+約2,000億円)に拡大し、基地・駐屯地の工事発注が増えていること(現実的視点)。そして安保3文書のGDP比2%前倒しと2026年中の改定により、施設整備予算が中長期で高止まり〜拡大が見込まれること(先見的視点)。資格取得には時間がかかるため、いま準備する価値があります。

第2回のテーマは、申請の「入口」にあたる2つの前提条件です。防衛省の競争参加資格は、申請書を出せば誰でも審査してもらえるわけではありません。次の2つを満たしていることが大前提になります。

  1. 建設業許可を受けていること(希望する工事種別に対応した許可)
  2. 経営事項審査(経審)を受けていること

逆に言えば、この2つが整っていれば、防衛省の建設工事資格に挑戦する資格条件は満たせます。順に見ていきましょう。

1. 建設業許可と「工事種別」の対応

防衛省の資格審査の工事種別は、建設業法別表第1に掲げる29の建設工事(土木一式、建築一式、電気、管、舗装、とび・土工など)に対応しています。申請では、このうち登録を希望する工事種別を選びますが、希望できるのは「その工事に対応する建設業許可を受けており、かつ経営事項審査を受けているもの」に限られます。

たとえば「電気工事」で登録したいなら、電気工事業の許可を持ち、電気工事について経審を受けている必要があります。許可だけ持っていても、その業種で経審を受けていなければ、その工事種別では登録できません。ここは申請前に必ず棚卸ししておきましょう。

実務上のチェックは単純です。手元の建設業許可通知書と、直近の総合評定値通知書を並べ、「許可がある業種」と「経審を受けている業種」の両方に入っている工種だけが、防衛省で登録を希望できる候補になります。複数業種で許可・経審を受けている会社なら、それだけ多くの工事種別で登録でき、入札の間口が広がります。逆に、主力の1業種しか経審を受けていない場合は、その工種に絞って登録することになります。なお、許可には知事許可と大臣許可、一般建設業と特定建設業の区分がありますが、競争参加資格の観点で本質的に効いてくるのは「希望工種について許可と経審があるか」という点です。

2. 経営事項審査(経審)とは

経営事項審査(経審)は、公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が必ず受けなければならない審査です。会社の経営規模・経営状況・技術力・社会性などを点数化し、客観的な評価を示すもので、結果は「総合評定値通知書」として交付されます。公共工事を直接請け負う建設業者は、少額の工事などを除き、経審を受けることが建設業法で義務づけられています。

防衛省の資格審査でも、この経審の結果(総合評定値通知書)が客観的な評価の土台として使われます。つまり経審は、防衛省に限らず官公庁の建設工事に参入するための共通パスポートのような位置づけです。

経審は、経営規模(完成工事高・自己資本など)、経営状況(財務の健全性)、技術力(技術職員数・元請完成工事高)、社会性(雇用や法令遵守の状況)といった項目を点数化します。これらの点数は、第6回で解説する防衛省のランク(格付)にそのまま影響します。したがって、防衛省の資格取得を見据えるなら、経審を「ただ受ける」のではなく、点数を意識して受けることが、将来狙える工事規模を左右します。経審の準備は、決算内容の整理や技術者の登録状況の確認とも密接に関わるため、税理士や行政書士と連携しながら計画的に進めるのが得策です。

3. 経審の「有効期間」に注意 ― 1年7か月ルール

経審で見落とされがちなのが有効期間です。工事の請負契約を結べるのは、経審の申請直前の営業年度終了日(審査基準日)から1年7か月の間に限られます。この期間が切れると、たとえ名簿に載っていても新たな契約ができません。

したがって、毎年継続して防衛省の工事を受注しようとするなら、審査基準日から1年7か月の「請け負える期間」が切れ目なく続くよう、毎年定期的に経審を受け続ける必要があります。決算のたびに経審を受けるサイクルを社内の年間スケジュールに組み込んでおくことが、安定受注の前提になります。

4. 社会保険の加入要件

令和7・8年度の資格審査では、総合評定値通知書における雇用保険・健康保険・厚生年金保険の加入状況が、いずれも「加入」または「適用除外」となっていることが条件です。通知書で「未加入」となっていても、その後に「加入」または「適用除外」になった場合は、その事実を証明する書類(保険料の領収書の写しなど)を提出すれば受け付けられます。証明書類がないと申請自体が受理されないため、保険関係は早めに整えておきましょう。

5. 申請できない「欠格要件」

次のような場合は、そもそも申請書を提出できません(主なもの)。

  • 契約を締結する能力を有しない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
  • 暴力団員等(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に該当する者)
  • 工事を粗雑にする・不正をするなど、過去に不誠実な行為があった者
  • 経営状況が著しく不健全と認められる者
  • 申請書類に重要な虚偽の記載をした者
  • 建設業許可および経営事項審査を受けていない者

自社がこれらに該当しないかを事前に確認しておくことが、手戻りを防ぐ第一歩です。

6. まとめ

防衛省の競争参加資格は、(1)希望工種に対応した建設業許可、(2)その工種についての経営事項審査、という2つの前提のうえに成り立ちます。とくに経審は有効期間(1年7か月)と社会保険要件に注意が必要です。まずは自社の許可業種と直近の総合評定値通知書を手元に置いて、希望する工事種別と突き合わせてみてください。

次回(第3回)は、いよいよ申請手続です。2年に1回の「定期受付」とインターネット方式の流れを解説します。

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出典:防衛省「令和7・8年度 防衛省所管における建設工事 競争参加資格審査申請書提出要領」、防衛省・自衛隊公式サイト、財務省「令和8年度防衛関係予算のポイント」ほか。 ※本記事は令和7・8年度(2025〜2026年度)の制度・予算内容に基づきます。受付期間・様式・金額は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。