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最終回の第5回は、在日米軍施設・区域の周辺で飛ばす場合の手続と、今回の改正で新設された「対象特別要人所在施設」「国際会議関係施設」の制度を解説し、連載全体を総まとめします。

在日米軍施設の場合:同意申請は「30日前まで」

在日米軍の施設・区域も、防衛大臣の指定する対象防衛関係施設です。手続の基本構造は自衛隊施設と同じ「管理者の同意+事前の通報」ですが、次の点が異なります。

 項目 自衛隊施設 在日米軍施設・区域
 同意申請の期限 飛行の10営業日前まで 飛行の30日前まで
申請書の様式防衛省HPで統一様式を公開施設ごとに異なる(各施設又は各地方防衛局に問合せ)
 申請の窓口 施設の管理者 施設の管理者へ直接、又は管轄の地方防衛局を通じて
48時間前までの通報先施設管理者・警察署・海上保安本部等(海域を含む場合)警察署・海上保安本部等(海域を含む場合)のみ。管理者への通報は不要

米軍施設は同意申請のリードタイムが30日と長いのが最大の特徴です。しかも申請書の様式が施設ごとに異なるため、様式の入手・確認の時間も見込んでおく必要があります。各地方防衛局が申請手続の支援を行っているので、初めての場合は活用するとよいでしょう。地方防衛局を通じて手続を行う場合は、さらに余裕を持った申請が求められます。

なお、48時間前までの通報では、警察署・海上保安本部等の窓口に機体を提示(困難な場合は写真を提出)する点、土地所有者・占有者の同意を得た方はその同意を証する書面の写しを提出する点は、自衛隊施設の場合と同様です。周辺地域の上空について土地所有者・占有者等や国・地方公共団体の業務による飛行に管理者の同意が不要である点も共通しています。

災害その他緊急やむを得ない場合は、飛行の前に施設の管理者又は地方防衛局に問い合わせることとされています。その場合であっても、飛行に係る管理者の同意は必要です。

施行直後の特例(令和8年7月14日〜8月1日)

改正で新たに禁止エリアとなった拡大部分について、令和8年7月14日から8月1日までの間に飛行する場合の同意申請は「速やかに行う」こととされています。ただし防衛省は、この期間の申請について管理者による受理を確約することは困難としています。施行直後の米軍施設周辺での飛行計画は、日程変更の可能性も織り込んでおくのが現実的です。

新設①:対象特別要人所在施設(天皇・内閣総理大臣の所在施設)

今回の改正で、警察庁長官が「天皇又は内閣総理大臣の所在する施設」を対象特別要人所在施設として指定できる制度が新設されました(新第3条の2)。指定されると、その施設の敷地又は区域と、その周囲おおむね1000mの地域が飛行禁止エリアになります。

この指定のポイントは「期間を定めて」行われることです。天皇や内閣総理大臣の安全確保に必要な期間に限って指定され、指定・解除はいずれも官報で告示されます。周辺地域が海域を含むときは、あらかじめ海上保安庁長官との協議も行われます。

実務上は、「普段は何の規制もない場所が、要人の滞在に伴って一時的に飛行禁止エリアになり得る」ことを意味します。恒久的な施設一覧だけを見ていても分からないため、飛行前には官報や警察庁ホームページなどで直近の指定情報を確認する習慣をつけましょう。

新設②:国際会議の関係施設

外国公館等に関する規定(第5条)も拡充されました。従来の外国公館や外国要人の所在施設に加え、「国際会議(外国要人が参加するものに限る)の準備又は運営のために使用される会議場施設その他の施設」が指定対象に追加されます。こちらも国際会議の円滑な準備・運営に必要な期間を定めて指定されます。

大規模な国際会議が開催される都市では、会議場やその関連施設の周囲おおむね1000mが一時的に飛行禁止となる可能性があります。開催地周辺で業務飛行を予定する企業は、開催時期と指定情報に注意が必要です。

改正スケジュールの総覧

 日付 内容
 令和8年7月14日(火) 改正法施行。飛行禁止エリアが「敷地+周囲おおむね1000m」に拡大、直接罰(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)が適用開始
令和8年7月14日〜16日【自衛隊施設の特例】拡大部分での飛行に係る同意申請は7営業日前までに(通常は10営業日前まで)
 令和8年7月14日〜8月1日 【在日米軍施設の特例】拡大部分での飛行に係る同意申請は速やかに(受理の確約は困難とされている)

連載総まとめ:個人・企業がとるべき5つのアクション

  1. エリア確認:飛行予定地の周囲1km以内に自衛隊・在日米軍等の対象施設がないか、防衛省ホームページの施設一覧と令和8年7月14日付の告示図面で確認する。
  2. 立場の整理:管理者の同意が必要か、土地所有者等・国・地方公共団体の業務として同意不要か、自分の立場を整理する(いずれでも48時間前までの通報は必要)。
  3. スケジュール確保:自衛隊施設は同意申請10営業日前まで、在日米軍施設は30日前まで。通報48時間前までとあわせ、余裕を持った工程を組む。
  4. 他法令の確認:航空法の許可・承認やDIPSでの飛行計画通報など、小型無人機等飛行禁止法以外の規制も並行して確認する。
  5. 最新情報の収集:対象特別要人所在施設や国際会議関係施設は期間限定で指定される。官報告示や警察庁・防衛省の公表情報を飛行前にチェックする。

令和8年7月14日の施行後は、「知らずに飛ばした」が直接罰につながる時代になります。一方で、法律と省令が定める手続を正しく踏めば、禁止エリアの内側でも適法に飛行できる道は用意されています。手続の要否判断や申請書・通報書の作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

全5回にわたりお読みいただき、ありがとうございました。本連載が、皆さまの安全で適法なドローン運用の一助になれば幸いです。

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出典・根拠資料

  • 重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第47号)本文
  • 防衛省関係重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律施行規則(令和元年防衛省令第3号)
  • 防衛省ホームページ「小型無人機等飛行禁止法関係」(令和8年7月3日更新)https://www.mod.go.jp/j/presiding/law/drone/index.html

本記事は上記の公表資料に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際に飛行を計画される際は、必ず最新の告示・防衛省等の公式情報をご確認ください。