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経営事項評価数値・技術評価数値・等級ランクのしくみ

本シリーズは、防衛省の建設工事の競争参加資格を全7回で解説するものです。いま取り上げる理由は2つ。令和8年度(2026年度)予算で「施設の強靱化」が契約ベースで約9,000億円(前年度比+約2,000億円)に拡大し、基地・駐屯地の工事発注が増えていること(現実的視点)。そして安保3文書のGDP比2%前倒しと2026年中の改定により、施設整備予算が中長期で高止まり〜拡大が見込まれること(先見的視点)。資格取得には時間がかかるため、いま準備する価値があります。

提出した書類は、どのように評価され、どんなランクが付くのか——第6回は、資格審査の中身と格付(ランク)の仕組みを解説します。ここを理解すると、「自社はどの規模の工事を狙えるのか」「どうすればランクが上がるのか」が見えてきます。

1. 総合審査数値 = 経営事項評価数値 + 技術評価数値

資格審査では、希望する工事種別ごとに2つの数値を算出し、合算した「総合審査数値」で格付が行われます。

  • 経営事項評価数値(客観点数):経営規模・経営状況・技術力・社会性などの客観的事項
  • 技術評価数値(主観点数):防衛省発注工事の成績などの主観的事項

式にすると「総合審査数値 = 経営事項評価数値 + 技術評価数値」。客観点数(誰が見ても同じになる数値)と主観点数(防衛省での実績)の両輪で評価される、と理解しておけば十分です。

2. 経営事項評価数値(客観点数)の算定

経営事項評価数値は、経審の結果(総合評定値通知書)をもとに、次の算式で希望工種ごとに算定されます。

経営事項評価数値 = 0.25A + 0.15B + 0.20C + 0.25D + 0.15E

 区分 内容
 A 希望工事種別ごとの年間平均完成工事高の評点
B自己資本額および利払前税引前償却前利益の評点
 C 経営状況の評点(純支払利息比率・自己資本比率など)
D技術力の評点(技術職員数・年間平均元請完成工事高)
 E その他の審査項目(社会性等:労働福祉・営業年数・防災活動・法令遵守など)

AとDの係数が0.25と高く、完成工事高(経営規模)と技術力が点数に大きく効くことが分かります。経審の点数対策がそのまま防衛省のランクに反映される、という関係です。

もう少し中身を見ておきましょう。Cの経営状況には、純支払利息比率、負債回転期間、総資本売上総利益率、売上高経常利益率、自己資本対固定資産比率、自己資本比率、営業キャッシュフロー、利益剰余金といった財務指標が使われます。Eのその他(社会性等)には、労働福祉の状況、建設業の営業年数、防災活動への貢献、法令遵守の状況、建設業の経理の状況、研究開発の状況、建設機械の保有状況、ISO登録の状況、若手技術者・技能労働者の育成・確保の状況などが含まれます。財務の健全化や社会保険・法令遵守の整備、防災協定の締結といった地道な取り組みが、点数として評価される仕組みです。

3. 技術評価数値(主観点数)の算定

技術評価数値は、希望工種ごとに、主観的事項の審査基準日の前日までの過去2年間で、防衛省発注工事において完成した工事の成績等に基づいて算定されます。つまり、防衛省の工事を受注し、良い成績を積み重ねるほど、この主観点数が上がっていく仕組みです。

ここで重要なのが「登録番号」です。技術評価の算定に使う工事成績は登録番号で管理されているため、更新申請の際に登録番号を書き忘れると、過去の工事成績が引き継がれません。第5回で「業者コードの記入を忘れない」と強調したのは、このためです。

4. 格付(ランク)と工事金額帯

総合審査数値と工事の契約予定金額の範囲に応じて、工事種別ごとに等級(ランク)が設定されます。土木一式・建築一式工事の場合は次のとおりです。

 等級 総合審査数値 契約予定金額の目安
 A 990点以上 3億円以上
B830点以上990点未満1億円以上3億円未満
 C 760点以上830点未満 3千万円以上1億円未満
D760点未満3千万円未満

土木一式・建築一式以外の工事種別では、A(870点以上/5千万円以上)・B(780点以上870点未満/2千万円以上5千万円未満)・C(780点未満/2千万円未満)の3段階で区分されます。自社のランクによって、入札に参加できる工事の規模が決まるわけです。

5. ランクを上げる視点

狙える工事の規模を上げたいなら、総合審査数値を引き上げる必要があります。実務的には次の2つが軸になります。

  • 客観点数(経審)を上げる:完成工事高・自己資本の充実・技術職員の確保・社会保険や法令遵守などの社会性項目の整備
  • 主観点数(実績)を積む:まずは取れる規模の防衛省工事を受注し、良い工事成績を継続的に積み上げる

客観点数は決算・経審の取り組みで中長期に底上げでき、主観点数は受注と成績の積み重ねで育ちます。だからこそ、発注が増えているいまのうちに名簿に載り、実績づくりを始めることが効いてきます。

6. まとめ

防衛省の資格審査は、経審ベースの客観点数(経営事項評価数値)と、防衛省実績ベースの主観点数(技術評価数値)を合算した総合審査数値で、A〜Dの格付を行います。係数の大きい完成工事高と技術力が客観点数を左右し、防衛省工事の成績が主観点数を育てます。ランクは一度きりではなく、取り組み次第で上げていけるものです。

次回(最終回・第7回)は、資格認定を受けた後の実務——変更届、特殊な資格審査制度、よくある失敗と禁止事項、そして専門家の活用までをまとめます。

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出典:防衛省「令和7・8年度 防衛省所管における建設工事 競争参加資格審査申請書提出要領」、防衛省・自衛隊公式サイト、財務省「令和8年度防衛関係予算のポイント」ほか。

※本記事は令和7・8年度(2025〜2026年度)の制度・予算内容に基づきます。受付期間・様式・金額は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。